すごい力を持った映画だ。ルーマニア、大学の学生寮に住む女子学生が、ルームメイトの妊娠中絶を助ける話。タイトルの4ヶ月、3週と2日はルームメイトの妊娠期間。ルーマニアでは4ヶ月を過ぎると法的には殺人罪になるとのこと。報酬としの肉体関係の医師からの要求、堕ろした胎児の処分、家柄の異なる裕福な恋人との将来への不安。何をするにもIDカードの必要、闇で物品を取引するなどの東ヨーロッパの内情がリアルに描かれている。映像の彩度が薄くハンディーカメラの多用、出演者も全くわからないので、一段とリアリティーがある。カット、カットをスムーズにつなぐのではなく、不自然な間が大変な緊張感を生んでいる。ハリウッドなら取り上げられないだろうテーマを正面から取り上げている。音楽は一切なし、ただ、エンドクレジットで恋の歌が流れる。逆説的でぐっとくる。説得力の強さで☆
腕利きのプロスポーツ・エージェントが、クライアントを減らして関係を深くしたい旨の理想をレポートにしたためクビになる。多くのクライアントを失い失意の生活を送るが、たった一人残ったあまり有名ではなかったクライアントと深い関係を結び、他のクライアントもうらやむ成功を得る。さらに、枯れに共感して一緒に会社を辞めた女性と結婚し、仕事よりも大切な愛を手に入れて、次の一歩を踏み出す。トム・クルーズの負け犬的なエージェント役、ぴったりだ。しかし、そのプレイボー的なキャラクターが幸せを手にした夫婦の行く先を不安にさせるのだ。彼のキャラクターイメージは2枚目に強すぎる。その後のフィルもグラフの役所が限定されているのが理解できた。そのジャンルでがんばってもらいたい。明日への希望がわいてくる映画でした。
第二次大戦中、フランス軍へ志願した植民地アフリカのアラブ系兵士の物語。フランスのために命を賭けて戦っても、差別されフランス人と同等に扱われない。ドイツ軍に占領されていたアルザス地方のアメリカ軍の応援に一番乗りを果たしたなら全員の行賞を得られると、兵曹は任務を志願し、アルザスを死守したものの、部下全員が戦死し自分だけが生き残ったが、行賞は得られなかった。フランスを舞台にした映画だが、バックに流れるアルマン・アマール担当のアラブ調の音楽が不思議な雰囲気を与える。画調ははややセピア系で当時の雰囲気をよく出している。敵兵の登場は最小限、フランス軍内部の矛盾、エゴを描いている。強国の行う仕打ちには、いつも犠牲者がいるのでした。理不尽さに悲しくなる映画でした。登場人物は非常に濃い顔の男たちで印象に残りました。☆
時間の流れが遅い。若い頃は確かにこうだったと、今、思い出す。クリスマスに恋人から合い鍵をもらって、8年後、分かれて鍵を返すまでと、留年して大学生恋人を持つOLの、バレンタインとホワイトデーを通しての結びつきを描いたオムニバス。東京のある町の一風景のような映画。密度の薄い映画だが、恋愛はこういうものだ。東京へ出張に出かけて、そのとき一瞬眼にした出来事のような映画でした。ごく普通であることがいい感じでした。それにしても薄い映画だ。
コール・ポーターと妻のリンダとの人生を綴る。全編を彩る楽しくソフィスケイトされたポーターの音楽。物語は晩年のポーターが人生を回想。妻のリンダを愛しながら、同性愛の裏の顔を持つ。妻に刺激されてニュー・ヨーク、ハリウッドで大成功。夫婦の間には溝が入り、ポーターは落馬事故で下半身が不自由になる。妻は肺の病で倒れる。二人の愛は本物だった。明るく楽しい、又、美しい音楽、物語は次第に暗く重くなる。やはり、人生は万全とは行かないもの。今までのコール・ポーターのイメージが変わりました。ポーター役のケヴィン・クラインはなかなかの演技だったが、拙にとっては地とアクを感じすぎて、最後までなじまなかった。音楽はスティーブン・エンデルマン、なかなかいいアレンジをしてたと思う。楽しい音楽に深く重くなる物語の映画でした。人生は重い。