千早振る(古今亭志ん生5)
知らないで知ったようなことを言っている人の所へ、訳のわからない男が訪ねていく。聞きに来たことがあるというと、ものを聞くと言うことはいいことだと誉める。そこで、二三聞いてみる。「うわばみ」の由来を聞くと「ウワーッと口を開けてばむからだ」といい加減な答え。今日訪ねたのは、娘が学校で習ってきたことを聞くので、親にものを聞くと言うことは親不孝の始まりで、今度ものを聞いたら親子の縁を切ると言っておいたので、しばらくは黙っていたが、今日、百人一首をやっていたとき、在原業平の詩「千早振る、神代もきかず竜田川、から紅に水くくるとは」の意味を聞かれ、はばかりへ行ってくるといって、裏から出て、今、こうしてた訪ねてきたとのこと。知ったかぶりの男は、「千早振るというから、神代もきかずとなる、ね、ああ、これは竜田川じゃないかな。あっ、から紅だ。で、水くぐる」と答えたが、わからないので聞くと「竜田川は相撲だ。田舎から江戸へ出てきて相撲道へ入って、一生懸命修行をして、大関になったな。ひいきの客に連れられて吉原へ夜桜を見に来たとき、花魁道中があった。美人の女が出てきた。竜田川が誰かと訪ねると、千早太夫だという。話がしたいと願い、茶屋へ行くと太夫がやってくる。しかし、相撲など嫌だといっていなくなってしまった。妹分の神代も姉さんの嫌いなものは自分も嫌いだと言い出て行く。竜田川は怒って、そんなに相撲が嫌ならやめたと言って、家業の豆腐屋になった。豆腐屋になって十年目、仕事をしている竜田川の前に立った、みすぼらしい女、三日もご飯を食べていないので、そこにある卯の花をくださいという。なんとその女が千早太夫のなれの果て。くださいと頼むのを、やらないと付くと、飛んでいって豆腐屋の井戸へ落っこちて、沈んじゃった」と説明してくれたが、この話は何ですと聞くと、これが業平の詩の訳だという。「千早が竜田川を振ったことから、千早振る。妹分の神代も言うことを聞かないから、神代もきかず竜田川だ。卯の花をくれといってもやらない、ね、おからはくれないんだよ。水くぐるって言うのは、井戸に落ちれて潜れば水くぐるじゃないか」−−ばかばかしい・・・・
マクラは強情について。飄々とした語り口、登場人物が憎めないキャラクターで、適度なクスグリを入れて、たわいもない噺の中に拙をグッと引き入れるが違和感を感じさせない。志ん生ワールドで笑ってしまう。恐るべき軽さだ。
マクラは強情について。飄々とした語り口、登場人物が憎めないキャラクターで、適度なクスグリを入れて、たわいもない噺の中に拙をグッと引き入れるが違和感を感じさせない。志ん生ワールドで笑ってしまう。恐るべき軽さだ。

